海軍証言集
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「海軍証言集」の公開について
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「海軍証言集」録音の経緯
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注意事項
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サンプル
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海軍証言集
「海軍証言集」の公開について
この度、戦艦「武蔵」元乗組員とご遺族を筆頭に、共にシブヤン海の対空戦闘を戦った駆逐艦「濱風」や「清霜」の乗員、「武蔵」建造に携わった三菱造船所職員などの証言を公開するため、軍艦武蔵会から戦艦武蔵史料保存会を独立部門として設立することとなりました。
公開する証言集の形態としては、インタビューで得た証言音声と、その発言の書き起こしが対になっています。語りの再現文章に加えて、証言者本人の肖像写真(海軍時代と録音当時)や、証言内容にかかわる人物や艦船などの兵器、施設や戦跡の写真、米海軍航空機から撮影された「シブヤン海の対空戦闘」の記録写真などを随所に挿入することで、聴覚と視覚を通じて証言内容の具体化に努めました。
終戦から七十六年が経過し、太平洋戦争そのものを経験された方々のほとんどが鬼籍に入られました。その一方で、近年では戦争が歴史の一部となり、殊に海軍に関しては、様々なメディア上で取り上げられるなど注目が集まっていると感じています。
そのような中、証言集を公表することで戦争を知りたいという次世代の方々へ伝えられることがあるのではないか、後世に残していけるのではないかと考え、公開を決定いたしました。
この証言集によって現在では聞けなくなってしまった体験者の生の声を通して、少しでも当時の雰囲気を感じていただき、戦争を知らない世代の方々の体験に資することができれば幸いです。
戦艦武蔵史料保存会
「海軍証言集」録音の経緯
今から三十年ほど前に製作したドキュメンタリー映画『軍艦武蔵』で、関係者二十七人の体験談を撮影した。本来なら映画が完成すれば,録音した音声は不要になるはずだった。ところがその年に、長編ノンフィクションの執筆依頼を受けて、新たに「武藏」乗員を中心にした海軍関係者たちの証言が必要になった。
平成二(一九九〇)年から開始した取材は、平成十五(二〇〇三)年に一区切りついて、約一〇〇名に及ぶ証言者から、約五〇〇時間に及ぶ証言を得た。質問の内容は、「武蔵」の誕生から戦闘、沈没と乗員の漂流と救助、そして元乗員が生きて故国の土を踏むまでの過酷な体験である。特に「武蔵」が最期を遂げた「シブヤン海の対空戦」での戦闘体験については、最も質疑と応答を積み重ね、時には四、五十年前の記憶を掘り起こすために、様々な資料を間において、証言者と一緒に考え、戦闘状況の再現に努めた。
取材の対象は戦闘だけではない。「武蔵」での起床からはじまり、日課訓練を経て消灯、さらには深夜の当直勤務まで、「武蔵」の日常生活の細部にまで及んだ。食事、入浴、日課訓練、敬礼に関する作法などはもとより、若い兵隊が苦しめられた夜の制裁についても、詳細に語られている。
二〇〇〇名を遥かに超えた乗員が乗組んでいた「武蔵」には、多くの配置がある。その術科の種類は、砲術、通信、航海、内務、飛行、機関、医務、主計など二十一の分隊に分かれていて、それぞれの部署に配置されていた乗員を選んで、聞き取りを行った。これによって、軍艦の運用や各部門の保全維持、戦闘時の役割などが理解できるはずだ。
取材対象者は、兵隊、下士官、准士官、士官の大尉まで、十六歳の少年兵から二十代がほとんどである。視聴者の方々は、この青少年たちが、昭和という時代の、戦前、戦中、戦後に、何を見て、何を感じて、何をしたのかを、「証言集」を通じて訪ね歩いていただきたい。加えて昭和の戦争に参加し、命を絶たれた大勢の軍人たちの記録を今に伝え、後世に残すのを目的に、海軍証言集を世に問うことにした。
さらに、これらの証言をまとめたものとして、『軍艦武蔵』という同名の映画(KADOKAWA)とノンフィクション書籍(太田出版)を是非お勧めしたい。この二作品に触れることで、証言者の言わんとする意味が、より理解できるはずである。
作家 手塚正己
注意事項
・証言集の音声、書き起こしの無断転載使用はご遠慮ください。出版社や研究者等でご使用になりたい場合は必ず事前にお問い合わせください。
・テープに録音されたものであり、雑音、生活音などで聞き辛い部分があります。ご了承ください。
・複数回に分けて録音されたものを繋ぎ合わせている部分もあるため、音調などが変化する部分があります。
・証言集では、体験者によって「武蔵」に関わる様々な時間軸、場所が登場します。「武蔵」や乗組員に関して
軍艦「武蔵」と乗組員たちの航跡に纏めていますので、事前にお読みいただけると幸いです。
・価格に関しては、15分100円を基準として1時間400円程度に設定し、1時間以上から1時間15分までは500円という形で値段が変わってきます。
・ご購入いただいた料金については、証言集作成にかかった諸経費を除いた他は、軍艦武蔵会HPの運営費、慰霊顕彰活動に使用されます。
・証言集についての問い合わせについては、gunkan.musashi.archive@(以下gmail)までお願いいたします。
サンプル
動画を再生しながら、サンプル書き起こし(クリックすると開きます)をご覧ください。なお、製品版については動画ではなくmp3ファイルになります。
海軍証言集
<砲術科>
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西岡敬之・・・海兵68期、第五分隊(高角砲)分隊長
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小川豊・・・18年志願、第六分隊(機銃)第六機銃群銃手
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蒔苗文雄・・・13年徴兵、第六分隊(機銃)第三機銃群長
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武井松太郎・・・17年後期徴兵、第九分隊(副砲)第二副砲発令所号令官附伝令
<航海科>
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大塚健次・・・18年志願、第十二分隊防空指揮所見張伝令
<機関科>
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江成平太郎・・5年志願、第十九分隊分隊士兼第二罐部分掌指揮官
<主計科>
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藤森(宝)福男・・・18年志願、第二十一分隊兵員烹炊所烹炊員
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小島小三郎・・・15年徴兵、第十二分隊需品倉庫員・後部応急員
<ご遺族>
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浅井さち子・・・浅井春三(第一主砲砲塔長)・妻
海軍証言集01
海兵68期出身の西岡敬之大尉による証言集です。
内容としては、音声データ(mp3)と書き起こし文(pdf)になります。
西岡大尉は海軍士官として、空母「加賀」、重巡洋艦「足柄」、戦艦「武蔵」に乗り組み、最後はフィリピン防衛戦の指揮官として終戦を迎えられました。
証言では、空母「加賀」で迎えた真珠湾攻撃、退艦後に「足柄」で聞いたミッドウェー海戦、「武蔵」での生活や人物、フィリピンに迫り来る米軍との戦いなどを、部下を率いる海軍士官としての立場から語っており、貴重な記録となっています。
※古い音声データとなりますので、聞き辛い箇所などがございます。あらかじめご了承ください。(収録時間:1時間7分)
西岡敬之 略歴
1918年12月03日 和歌山県に生まれる
1937年04月01日 海軍兵学校(68期)入校
1940年08月07日 海軍兵学校卒業、「鹿島」乗組
1940年08月28日 「加賀」乗組
1941年04月01日 任海軍少尉
1942年03月16日 任海軍中尉
1942年03月25日 補「足柄」分隊長
1943年08月15日 補「武蔵」分隊長
1943年11月01日 任海軍大尉
1944年11月15日 補第三南遣艦隊司令部
1945年01月08日 補第三十七警備隊分隊長
海軍証言集02
海軍主計兵として戦艦「武蔵」に乗組まれた藤森(宝)福男一等主計兵の証言集です。
内容としては、音声データ(mp3)と書き起こし文(pdf)になります。
戦艦の中では数千人の海軍軍人たちが暮らしていましたが、生活する上で必要な食事や衣服、はたまた給料などのお世話をしていたのが主計科の役割でした。
本証言集では、烹炊所で食事の準備をしていた藤森主計兵の話から、軍艦「武蔵」では、どのような生活を送っていたのかを知ることができます。
※古い音声データとなりますので、聞き辛い箇所などがございます。あらかじめご了承ください。(収録時間:1時間53分)
藤森(宝)福男 略歴
1923年01月17日 長野県に生まれる
1943年05月01日 海軍に志願し、横須賀第二海兵団へ入団
1943年08月15日 海軍一等主計兵、「武蔵」乗組
1944年11月01日 海軍上等主計兵
1944年11月25日 「さんとす丸」に便乗したが、撃沈される
1944年12月26日 「讃岐丸」へ便乗、帰国
1945年02月 第十一嵐部隊(特殊潜航艇「蚊龍」)配属
1945年05月01日 海軍主計兵長
1945年09月01日 海軍二等主計兵曹、予備役編入
終戦後、駆逐艦「柿」にて復員業務に携わる
海軍証言集03
戦艦「武蔵」の艦橋の一番上、防空指揮所で見張りをされていた大塚健次一等水兵の証言集になります。
内容としては、音声データ(mp3)と書き起こし文(pdf)になります。
艦内での生活の様子をはじめ、レイテ沖海戦では迫り来る敵機や、艦長などの首脳部がいた第一艦橋が被弾した様子など、貴重なお話が入っています。
※古い音声データとなりますので、聞き辛い箇所などがございます。あらかじめご了承ください。(収録時間:1時間51分)
大塚健次 略歴
1924年02月15日 栃木県に生まれる
1943年05月01日 横須賀第二海兵団に入団、海軍二等水兵
1943年08月15日 海軍一等水兵、「武蔵」乗組
1943年12月 防空指揮所見張伝令配属
1944年11月01日 海軍上等水兵
1944年11月25日 「さんとす丸」便乗
1945年05月01日 海軍水兵長、高雄警備隊勤務
1946年 復員
海軍証言集04
「武蔵」第一主砲砲塔長を務め、昭和20年4月13日にフィリピン・エルフレイル島の守備隊長として戦死された、浅井春三少尉夫人による証言です。
留守を守る妻の心情と、今に残された手紙を紹介しています。
※古い音声データとなりますので、聞き辛い箇所などがございます。あらかじめご了承ください。(収録時間:9分)
海軍証言集05
昭和18年に海軍を志願され、「武蔵」の25mm三連装機銃で機銃手として戦われた、小川豊一等水兵の証言集です。
内容としては、音声データ(mp3)と書き起こし文(pdf)になります。
25mm三連装機銃の操作方法や機銃員の配置、弾雨に身をさらして敵機と銃火を交した体験談を語っています。
※古い音声データとなりますので、聞き辛い箇所などがございます。あらかじめご了承ください。(収録時間:1時間7分)
小川豊 略歴
1925年08月20日 千葉県芝山町に生まれる
1943年05月 海軍に志願。横須賀海兵団に入団
1943年08月31日 海軍一等水兵
1943年09月11日 「武蔵」乗組
1944年04月03日 左舷六番機銃伝令から十番機銃銃手
1944年11月01日 海軍上等水兵
1945年01月 横須賀陸戦司令部附
海軍証言集06
昭和5年に海軍を志願され、特務士官まで昇進された江成平太郎機関少尉による証言集です。
商品内容としては、音声データ(mp3)と書き起こし文(pdf)になります。
江成少尉は機関科将校として、軍艦「武蔵」の右舷最下層にあった罐部の掌指揮官としてレイテ沖海戦を戦いました。
軍艦が沈む時は助かる見込みのないの配置、鉄板一枚の下は地獄と言われた罐部で、部下を率いて戦い抜いた貴重な証言となっています。
※古い音声データとなりますので、聞き辛い箇所などがございます。あらかじめご了承ください。(収録時間:11分22秒)
江成平太郎 略歴
1912年2月4日 誕生
1930年6月1日 横須賀海兵団入団、海軍四等水兵
海軍兵学校選修学生22期
1944年2月15日 「武蔵」乗組
1944年10月24日 レイテ沖海戦
海軍証言集07
海軍の主計科下士官として戦艦「武蔵」に乗組まれた小島小三郎二等主計兵曹の証言集です。
商品内容としては、音声データ(mp3)と書き起こし文(pdf)になります。
小島さんの戦闘中の配置は、戦死者のご遺体を安置所となっていた風呂場へ運ぶ応急員でした。
戦闘という行為の裏にはどれだけ凄惨な場面が待っているのか、貴重な証言となっています。
※古い音声データとなりますので、聞き辛い箇所などがございます。あらかじめご了承ください。(収録時間:18分23秒)
小島小三郎 略歴
1919年6月15日 福島県に生まれる
1940年1月10日 横須賀海兵団へ入団、海軍四等主計兵
1940年5月 海軍三等主計兵、鈴鹿航空隊に配属
1941年5月1日 海軍二等主計兵
1942年4月 「第二号艦」艤装員附
1942年5月1日 海軍一等主計兵
1942年11月1日 海軍主計兵長
1943年1月9日 現役満期即日延期
1943年5月1日 海軍二等主計兵曹
1944年10月24日 シブヤン海の対空戦闘
1944年10月26日〜 コレヒドール島で炊事作業に従事
海軍証言集08
第六分隊第三機銃群長として「武蔵」右舷前部にあった三基の25mm三連装機銃を指揮し、シブヤン海の対空戦闘で弾片を受け、負傷された蒔苗文雄上等兵曹による証言記録です。
第三機銃群では、舷側から張り出した七番機銃以外は戦闘で全滅しており、対空機銃員たちがどのように戦い、戦死していったかが語られています。
※古い音声データとなりますので、聞き辛い箇所などがございます。あらかじめご了承ください。(収録時間:27分22秒)
蒔苗文雄 略歴
1919年4月1日 青森県に生まれる
1938年6月1日 横須賀海兵団へ入団、海軍四等水兵
1938年11月15日 海軍三等水兵
1939年11月1日 海軍二等水兵
1940年11月1日 海軍一等水兵
1942年5月 「第二号艦」艤装員附
1944年10月24日 シブヤン海の対空戦闘で左胸を負傷
駆逐艦「清霜」に救助される
1944年11月11日 「氷川丸」海軍病院で内地へ出港
1944年12月1日 横須賀海軍病院に転院
1945年8月15日 大湊施設部にて終戦
海軍証言集09
戦艦「武蔵」に乗組まれた武井松太郎上等水兵の証言集です。
商品内容としては、書き起こし文(pdf)になります。
証言については、youtubeに全編をアップロードしておりますので、ぜひご覧下さい。
本証言集では、新兵として初戦時から軍艦「武蔵」に乗り組まれた武井さんの話を通して、水兵たちがどのように「武蔵」で生活し、戦い、戦争を生き抜いていったかを知ることができます。
※古い音声データとなりますので、聞き辛い箇所などがございます。あらかじめご了承ください。(収録時間:22分53分)
武井松太郎 略歴
1921年2月5日 埼玉県に生まれる
1942年9月1日 横須賀第二海兵団へ入団
1942年12月10日 海軍一等水兵
1942年12月12日 「武蔵」乗組
1943年6月24日 「武蔵」に天皇行幸
1943年11月1日 海軍上等水兵
1944年11月1日 海軍水兵長
1944年11月25日 「さんとす丸」に便乗したが、撃沈される
1944年11月26日 台湾の高雄到着。高雄海兵団に入団
1946年3月 復員